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2009年 11月 29日 ( 1 )

山荘づくりの基本

Sさんのご尽力で「約束の地」に出会ってもうすぐ2年。売買契約を交わしてからでも1年半。今年も残すところひと月となりましたが、今年も家は建ちませんでした(笑)。まあ、もうしばらくの間は家が造られていく様子を眺める楽しみがあるとも言えますね。


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別件で本棚をひっくり返していたところ、かつてよく楽しくページを繰っていた「自然を楽しむ週末別荘傑作選」という本を見つけました。軽井沢の別荘建築の将、吉村順三さんの建築から別荘づくりの基本を読み取るという趣向の本で、定住とは言え限りなく山荘のテイストを盛り込みたかった私にも、大きなヒントをくれました。

以下、簡単にまとめておきます。




1. 基礎にコストをかけよ

建築で一番大切なのは基礎です。湿度が高く、寒冷地であり、また傾斜地の別荘地も多い軽井沢では湿気や凍結深度を考えて基礎を深く、高く、堅牢に作っておくことが建物の寿命を長くするための肝と言えます。予算の多くを基礎に費やし、逆に上物は作りこまず森に馴染むようにするのが軽井沢スタイルではないでしょうか。うちは建築家曰く、「ビルみたい」な基礎です(笑)。予算を圧迫し、工期を遅らせています(笑)。

2. 設備は軽装備に

上物をシンプルにすることに通じます。設備類も複雑にすればするほど故障も増え、メンテナンスも複雑化します。自然の恩恵を極力生かす合理的な設備計画、シンプルライフを旨とすればコストカットにもつながります。どうせ設備機器のサイクルは早いので、買い替えの時にグレードアップしてもよいのです。うちはクーラーもありませんし、暖房器具もたった2つです。

3. 居間に大きな開口を

豊かな自然を楽しむのが軽井沢に山荘を構える大きな目的のひとつではないでしょうか。その自然にいかに近づくかが設計プランの一大課題となり、居間にいながらにして自然の中にいるような気分になれること=居間の開口を大きくとるのが定石となります。これは吉村順三さんの言う「ベランダを大きくとる」、「居間と食堂を一室に」という開放スペースのあり方と一体として、うちもすべて取り入れています。

4. 暖炉は必須

これはかつて記事でも書きましたが、炎を見ていると人は不思議と心安らぎます。特に男とは、渡哲也さんが言うように「ムダに火を燃やしたい生き物」なんです(笑)。非日常を楽しむ空間である山荘では暖房器具である薪ストーブ以上に、薪がはぜる音や匂い、立ち上がる炎をダイレクトに感じられる暖炉の前でゆったりとした時間を過ごしたいと画策していました。ただこれも以前に記したように、予算上の都合、仕事との兼ね合いで薪を作る時間的余裕がないことやメンテナンス面などを総合し、現時点ではあきらめました。当面、焚き火は庭で楽しむことにします。そのためのいいアイテムも見つけちゃいました。そのうち公開しますね。

5. 寒冷地対策は万全に

外断熱や内断熱、それを担保する断熱材といった観点での議論が盛んですが、当然のことながら窓や玄関部といった開口部の断熱効率が一番効果的です。結露対策として木製サッシや樹脂サッシを使い、LOW-Eペアガラスは最低限選びたいところです。LOW-Eには室内に日射を採り入れやすく、それを室外に出しにくい「断熱タイプ」と、逆に室内に日射を採り入れにくくブロックする役割を持つ「遮熱タイプ」があります。木々が多く標高が高い軽井沢の夏はあまり厳しくなく、厳しい冬により焦点を当てればすべての窓を「断熱タイプ」にしてもいいかもしれません。ただ軒を深く取って夏の日射を遮り、冬の日射は採り入れるという日本古来の知恵の活用は必須です。また、暖房設備で生まれた暖気を建物自体のシステムで循環するなど空調効率が良化すれば、ランニングコストは抑えられます。

軽井沢、「避暑地」としての利用だけではもったいないです。寒冷地対策を万全にすれば、通年滞在型の楽しみ方が味わえます。しんみり、ほっくり。冬にこそ軽井沢は本当の美しさを見せてくれるはずです。

6. 地元の建築家&大工のコラボが最強

信州の気候風土を最もよく把握しているのは地元の人。もちろん信州といっても広く、できれば軽井沢に根ざした建築家や職人さんにお願いできれば最高です。ですが人材は限られており、またテイストや相性の問題だってありますから、軽井沢近郊に生まれ育った信州人で信頼できる方を探しましょう。どんなに偉い大都市の建築家、ビルダーが軽井沢での件数をこなしていたとしても、やはり信州の厳しい気候風土を子どもの頃から熟知している地元の名人たちにはかなわないと思うんです。
by cyril-aw11 | 2009-11-29 22:36 | 家造り全般