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冬の終わる日 その1

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晴れて長野県民になった。さようなら富士山。

住み替えをして、「軽井沢に家を建てよう!」と決断したのが昨年の7月。何をどこから始めていいのやらと五里霧中ではあったが、とりあえず地元のA不動産と「専属専任媒介契約」を結び、住んでいた住居を売りに出した。この時点では手持ち物件の売却を先行して進めていたので、「売り先行」だった。住み替えにおいて売り先行のメリットは、売却に関する価格やスケジュールの目安をつかんで購入物件を決められるので、安全性が高いことにある。売却をあせる必要がないため、売却価格やその他の条件についてじっくり詰めて進めることができ、また売却物件と購入物件のローンが重なって二重返済に苦しむこともない。

デメリットとしては売却契約をしてしまえばスケジュールが確定し、その時点で購入物件が決まっていない場合は仮住まいの用意などが必要になるということがある。だが私の場合は、現地での実生活を通じて軽井沢の実際を肌で感じておきたかったし、実施設計に入れば毎週のように行われることになる建築家との打ち合わせを考えて、もともとなるべく早い時期に仮住まいを始めようと思っていたので何らデメリットではなく、早期に売却が進むことを願っていた。

しかし、専属契約期間の3ヶ月はあっという間に過ぎた。当初から「オンシーズンの夏の軽井沢ではなく、オフシーズンの冬の軽井沢で土地探しをする」ことを計画していたため、売却の専属契約を更新する一方で、軽井沢での土地探しも平行して始めることになった。購入契約こそずいぶん後になるが今年の1月には「約束の地」と出会い、移住計画の目鼻は付いたものの、売却の方は遅々として進まなかった。

そこでA不動産との専属契約を満期のタイミングで解除して一般媒介契約に切り替え、B不動産およびC不動産とも一般媒介契約を結ぶ方針変更を行った。不動産媒介契約には、売却を依頼する不動産会社を1社にするか複数にするかなどの違いによって、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの種類があり、それぞれの契約の最長限度は3ヶ月となっている。どの形態を選ぶのかよいかはまさしくケースバイケースだが、自分の経験だけを通じて言えば「一般媒介契約」がよいと思う。

私が読んだ多くの不動産関係の本では、「売却依頼を1社に絞ることで売れるも売れないも自分の売却活動次第となるため、売主の期待に応えるため広く宣伝活動を優先的に行ったり、少しでも多くの自社の顧客に紹介するなど、より積極的な活動が期待できる」と専属専任媒介契約を勧めていたが、恐らくあのままA不動産だけで売却活動を行っていたら、まだ売れずに悶々とした日々を送っていただろうと思う。決してA不動産の怠慢ではない。担当者は最後まで一番腹を割って何でも相談できる人だったし、できれば彼と成約したかった。

一生懸命に早期売却に向けて活動し続けてくれた彼の方が、「一般媒介契約にして幅広く買主を募った方が効率がいい。景気後退により不動産市場は低迷を続けており、特に住宅地でないリゾートは厳しい。そんな状況の中、業者は専属だろうと一般だろうと関係なく目先の一軒の成約に躍起になっているのが現状だから」とアドバイスしてくれたのだ。果たして成約に至ったのは、最後の最後に一般媒介契約を結んだ4社目のD不動産だった。購入申し込みが入ったのは、依頼してわずか3週間後のこと。魚のいない生簀にいくら釣り糸を垂れても結果は出ない。ならば魚を求めて生簀の量を増やすべきだと思う。

続く。
by cyril-aw11 | 2008-11-29 17:14 | 家造り全般
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