家造りにまつわることには、よく「縁」という言葉が使われる。特に土地探しは「縁が取り結ぶもの」とか「ご縁があった」などと言われる。私が今回の土地探しにおいて唯一信頼してお付き合い頂いた不動産屋さん(以後、Sさん)も、初めてお会いした当初からよくこの言葉を使われていた。
でも正直な話、私はこの言葉が苦手だった。ビートルズの「Let It Be」ではないが、向こうからご縁がやってくるのを待っているなんて短気な自分にはとてもできないと思ったし(笑)、もしそれしか方法がないのであれば、能動的に活動することが無駄なのではないかと思っていたからだ。でも今振り返れば、やはり全ては「縁」の取り成す業だったのだと思える。 以前経過を書いたが、軽井沢での土地探しで最初に訪れたA社の営業マンは最悪だった。そして、2番目にお会いしたのがSさんだった。最初の印象は今でも変わらず、プロとして持っている知識や情報を私に下ろし、それを基にした私の判断をサポートしてくれた。長い土地探しの旅を時には励まし、時には叱咤しながら先導し続けてくれた。私は全部で4社の営業マンと接触したが、最後までお付き合いを続けたのはSさんだけで(正確に言えばお付き合いが続いているのはもう1社あるのだが、そこは何と今回決めた土地の売主だった。同じ土地を私の嗜好に合うと、お互いにお付き合いのあるお二人が勧めてくれたのにも「縁」を感じた)、本当に根気強く私の難しい条件に合う土地を一緒に探し続けてくれたと思う。 不動産巡りをしていると「これは全く見るまでもナシ」という的外れな物件を見せられることは経験されている方も多いと思うが、Sさんのすごいところはこれが全くなかったことだ。常に見せてくれる物件は何かがかすっていた。顧客のニーズに真摯に向き合っているからこそだろう。 「軽井沢ブルー」などという言葉もあるぐらい閉塞感のある、暗く長く寒い冬に土地探しをしたこともよかったと思う。この時季は確かに新しい物件が数多く出てくるわけではないが、その反面別荘ではなく生活の拠点として物件を選ぶ場合には、一番辛い時季にどういう状況になるかを踏まえてじっくり見定められるメリットもある。実際に決めた土地に冬季の除雪は基本的に入らないのだが、珍しくドカ雪となった今冬の軽井沢の状況でも、自分の4駆で全く問題がないことを何度も確かめられたことなどはその際たる例だろう。 そして木々は葉を落とし草は枯れて茶色となり、その上をドカ雪が覆っていた状態で購入しただけに、春になって雪が融け新緑が芽吹いた状態を初めて見た時は本当に驚いたし、まさに景色が違って見えた。一番悪い状態を見ておけば、後は良くなるばかりなんだということを再認識した次第だった。
by cyril-aw11
| 2008-07-14 12:26
| 家造り全般
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