昔の日本家屋は断熱などという概念がなく、徹底的に開放的に造ることで風通しを良くして湿気をためることのない、木材の強度維持にとって最適な環境を維持することに努めてきた。萱葺き屋根や土壁などがそのツールで、非常に優れた効果を発揮する反面、冬は非常に寒い。装甲をギリギリまで薄くすることで徹底的な軽量化を図り、その圧倒的な旋回性能とスピードを誇ったゼロ戦のようなものだ。日本にはこの手の二者択一を迫ることで、その構造を極限まで研ぎ澄ます美学があるように思う。
さて窓ガラスなどに出現する目に見える結露を表面結露と言うが、もっと性質が悪いのが壁の中や天井裏、床下など目に見えない部分に充填されたグラスウール系断熱材内で起こる内部結露である。先に見てきたように快適性を犠牲にして徹底的に開放するかつての家造りが不可能である以上、結露をを避けるにはその逆となる徹底的に防湿的に造って外部からの湿気を取り込まないようにすることしか選択肢はなくなってくる。もちろん充填断熱でもきちんとした施工によって内部結露対策をすればそれは回避でき得るし、コンセントやダウンライト周りの気密処理だってまた然りだ。 しかし外張り断熱は単純で容易に安全が担保できる。誰が施工しても確実な結果を出せるシンプルな構造の方が、フェイル・セーフの考え方からもいいように私には思える。また外からすっぽりと包み込んで断熱することで小屋裏や土間、地下室などすべての空間が室内また蓄熱体として利用でき、もし建築当初に金銭的にキツければ内装なしの未完成住宅としておいてもまったく問題がないというのもメリットだ。これらの利点は透湿性能の高いプラ系断熱材使用によるコストアップや、外にふけるといったデメリットを補ってまだ余りあるものだと私は考えている。
by cyril-aw11
| 2008-01-31 13:04
| 家造り全般
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