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家の構造体をどうするか その3

家造りとは高度なバランス・テクノロジーの集積と考えるべきだと思っている。95年の阪神・淡路大震災後、朝日新聞が検証もなしに「プレハブは地震に強かった」という記事を掲載したことで、あたかも木造(在来)建築が地震に弱いかのような印象が広まってしまった。しかしその後東大の阪本教授の指揮下で行われた木造住宅実大振動公開実験において、「2X4、プレハブと同程度の耐震性がある」との結論が出ていることはあまり知られていない。

これは133平米の2階建て、一隅に通し柱がなく、2階が1階と重なっていない、ごく普通の木造住宅を用意し、阪神・淡路大震災時の最大振動(水平最大加速818ガル、上下最大加速332ガル)を2日間で計8回与えるものだった。徐々にホールダウン金具を緩め、壁量や筋交いなどを減らし、内壁を半分にしたりとかなりの手抜き工事が行われたような状態を作り出したものの、それでも倒壊には至らなかったのだ。

実際、阪神・淡路大震災そして04年の新潟県中越大震災の際に倒壊したほとんどの木造家屋は、現行の建築基準法への改正以前に竣工した物や軟弱な地盤に建てられた物で、逆に言えば新耐震基準に沿って建てられた物はRC造やプレハブなどとまったく遜色がないのであった。しっかりとした地盤にバランスよく、程ほどの広さに部屋を作り壁と窓の配置と大きさに配慮することで、構造体を選ばずとも十分に地震に強い家造りはできるという価値ある実験結果だと思う。

確かにRCは強固な構造体ではあるが木造(在来)も大きな遜色はなく、不安があれば筋交いではなくダイライトやTIPなどで構造強化する手段も採れる。揺れによって頭が大きく振れることを防止するために、屋根材を重い瓦ではなくステンレス板などの軽くて耐久性の高い素材に変更することも有効だ(これには冬季の雪下ろしが不要になるメリットもある)。

また私の求める「約束の地」の「外から見ると、周りの環境を邪魔しない地味なかたまりで、門から一歩はいると、そこに秘密の森みたいな独自の空間がひろがっている庭。濃密な異次元の香り、いながらにしてどこにでもいける別世界。どこでもない自由なひろがり。ひとりになれる、誰にも邪魔されない静かで安らげる隠れ家」というイメージを叶えられる軽井沢の杜は総じてあまり強固でない地盤が多く、またそうした杜の中の隠れ家にやはりRC造の重厚な建築物はそぐわないだろう。

また最後に鉄骨という素材について、思うところを記しておく。最大のネックは熱伝導率だ。鉄のそれは木の3~400倍であり、これを構造体に選んだ場合には厳密な熱橋対策が必要となる。これは断熱方式を外張り断熱(後日詳しく触れる)にすることで解決されるが、しかし外壁を構造体に支持する金物があるために外壁から鉄の部分を完全に断熱するのが難しく、結露の不安がある。

この結露は家屋の強度を語る上で、最大の重要事である。というのも、先に述べた在来工法の高い耐震性は建てられた初期の強度がずっと維持されることが前提であるからで、当然乾燥された木は強さを発揮するが、湿ってカビたり腐ったりした木はもろく崩れやすい。これもまた後日詳述することになると思う。

また鉄は耐火性の点でもネックがある。一見強固に見える鉄だが、着火時点からの強度変化という点では大きく木に劣り、わずか4~500度でメルトダウンしていく。01年の9/11同時多発テロにおいて、NYのWTCビルが火災での熱によって解け落ちたのは記憶に新しい。

以上を総合して、私は自分のイメージする家に最も適する構造体は木であると結論付けた。
by CYRIL-AW11 | 2008-01-18 13:00 | 家造り全般
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