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冬の終わる日 その1

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晴れて長野県民になった。さようなら富士山。

住み替えをして、「軽井沢に家を建てよう!」と決断したのが昨年の7月。何をどこから始めていいのやらと五里霧中ではあったが、とりあえず地元のA不動産と「専属専任媒介契約」を結び、住んでいた住居を売りに出した。この時点では手持ち物件の売却を先行して進めていたので、「売り先行」だった。住み替えにおいて売り先行のメリットは、売却に関する価格やスケジュールの目安をつかんで購入物件を決められるので、安全性が高いことにある。売却をあせる必要がないため、売却価格やその他の条件についてじっくり詰めて進めることができ、また売却物件と購入物件のローンが重なって二重返済に苦しむこともない。

デメリットとしては売却契約をしてしまえばスケジュールが確定し、その時点で購入物件が決まっていない場合は仮住まいの用意などが必要になるということがある。だが私の場合は、現地での実生活を通じて軽井沢の実際を肌で感じておきたかったし、実施設計に入れば毎週のように行われることになる建築家との打ち合わせを考えて、もともとなるべく早い時期に仮住まいを始めようと思っていたので何らデメリットではなく、早期に売却が進むことを願っていた。

しかし、専属契約期間の3ヶ月はあっという間に過ぎた。当初から「オンシーズンの夏の軽井沢ではなく、オフシーズンの冬の軽井沢で土地探しをする」ことを計画していたため、売却の専属契約を更新する一方で、軽井沢での土地探しも平行して始めることになった。購入契約こそずいぶん後になるが今年の1月には「約束の地」と出会い、移住計画の目鼻は付いたものの、売却の方は遅々として進まなかった。

そこでA不動産との専属契約を満期のタイミングで解除して一般媒介契約に切り替え、B不動産およびC不動産とも一般媒介契約を結ぶ方針変更を行った。不動産媒介契約には、売却を依頼する不動産会社を1社にするか複数にするかなどの違いによって、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの種類があり、それぞれの契約の最長限度は3ヶ月となっている。どの形態を選ぶのかよいかはまさしくケースバイケースだが、自分の経験だけを通じて言えば「一般媒介契約」がよいと思う。

私が読んだ多くの不動産関係の本では、「売却依頼を1社に絞ることで売れるも売れないも自分の売却活動次第となるため、売主の期待に応えるため広く宣伝活動を優先的に行ったり、少しでも多くの自社の顧客に紹介するなど、より積極的な活動が期待できる」と専属専任媒介契約を勧めていたが、恐らくあのままA不動産だけで売却活動を行っていたら、まだ売れずに悶々とした日々を送っていただろうと思う。決してA不動産の怠慢ではない。担当者は最後まで一番腹を割って何でも相談できる人だったし、できれば彼と成約したかった。

一生懸命に早期売却に向けて活動し続けてくれた彼の方が、「一般媒介契約にして幅広く買主を募った方が効率がいい。景気後退により不動産市場は低迷を続けており、特に住宅地でないリゾートは厳しい。そんな状況の中、業者は専属だろうと一般だろうと関係なく目先の一軒の成約に躍起になっているのが現状だから」とアドバイスしてくれたのだ。果たして成約に至ったのは、最後の最後に一般媒介契約を結んだ4社目のD不動産だった。購入申し込みが入ったのは、依頼してわずか3週間後のこと。魚のいない生簀にいくら釣り糸を垂れても結果は出ない。ならば魚を求めて生簀の量を増やすべきだと思う。

続く。
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by cyril-aw11 | 2008-11-29 17:14 | 家造り全般

軽井沢の休日 その2

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午後から本格的な雪となった3連休の最終日、前々から気になりつつ行きそびれていた「手打ちうどん 松鶴」に伺った。場所は有名蕎麦店「きこり」のR18を挟んだ向かいで、「モリモリ亭」の隣り。木曜定休。

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きのこうどん。味噌汁に申し訳程度に入っているものとは風味が全く違う、正真正銘のナメコがふんだんに使われている。鍋焼きうどん。あっさりしていながらもダシが効いていて、盛りだくさんの具はどれもおいしい。寒い雪の日に体が芯まで暖まった。鳥の竜田揚げ。実はこれが隠れた絶品。私は大の鳥唐フリークなのだが、うす醤油ベースのこの竜田揚げに完全にはまってしまった。

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会計時に店員さんと立ち話をしていると、わざわざ店主が見送りに出てきてくれた。「軽井沢に蕎麦屋は多いけど、うどん屋ってないですよね」と言うと、やはりあえてそのニッチを狙ったとのこと。まだ今年の4月に開店したばかりとのことだが、お向かいの「きこり」のような大御所になるのは間違いないだろう。

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食事を終えると「軽井沢プリンスショッピングプラザ」へ。あれだけ日頃嫌がっている場所に足を向けるのには深い理由がある(笑)。私の足元を防備する冬の定番「SOREL」のブーツを扱っているのは「SATO SHOES STUDIO」だけなのだ。旧軽井沢の本店に行けばいいのだが、あちらの営業は19時まで。このプリンス店ならプラチナバーゲン期間中は、21時まで買い物ができる。おまけに雪が降っているとなれば、間違いなくガラガラだろうという読み。果たしてガラガラだった(笑)。

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目的のSORELのブーツを2足ゲット。冬の私の装備はほぼ9割が「AIGLE」「L.L.Bean」「ユニクロ」(ヒートテック)、そしてSOREL。その中でもAIGLEとSORELは別格だと思う。SORELは1908年にカナダのオンタリオ州、ウィリアム・H・カウフマン社より誕生。「耐久性と快適性の両立」ができるウインターブーツの開発、そしてリリースは極寒地で暮らす人々に大きな衝撃を与えた。これがウインターブーツのスタンダードの原型となり、現在広く世界で受け継がれている。

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ついでにこんなイルミネーションを撮影。とにかく寒かった。
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by cyril-aw11 | 2008-11-28 21:08 | 軽井沢

しなの鉄道、軽井沢の用地売却「白紙」に

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今朝の「信毎web」から。以下、転載。

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 県出資の第三セクターしなの鉄道は25日の取締役会で、北佐久郡軽井沢町の軽井沢駅東側に所有する旧JR信越線鉄道敷約1万7000平方メートルの売却計画を白紙に戻すと決めた。交渉先の不動産会社アーバンコーポレイション(広島市)=民事再生手続き中=の子会社が仮契約解除を申し入れていた。

 しなの鉄道は3月末で約5億9000万円の累積赤字を一気に解消できるとし、早期売却を望んでいた。本年度は経営再建を目指す5年間の第1次中期経営計画の最終年度で、計画が掲げる累積赤字解消の目標達成は困難になった。

 古坂和俊代表取締役専務は記者会見で「残念だが(交渉先が経営破たんする)こういう状況下では致し方ない」と述べた。旧鉄道敷売却の方針自体は変えず、新たな売却先を探すが、景気後退で地価も下落傾向のため、売却時期は慎重に見極める方針。

 旧鉄道敷売却は2005年、別の外資系開発会社と仮契約。昨年、アーバンの子会社に仮契約の地位が譲渡され、さらに別の子会社アーバン・グローバルインベストメント(東京)に移った。アーバン側は複合商業施設建設を計画していた。

 8月に民事再生手続きを申請したアーバンコーポレイションは「国内不動産業も米国発の金融危機の影響を受け、テナントの出店意欲も低下している。テナント料を当初想定より下げざるを得ず事業として成立しない」と説明。仮契約は年内に解除の見通しだ。

 取締役会で報告された08年9月期中間業績は、昨年6月の運賃値上げ効果もあり、経常利益が前年同期比10・3%増の2億400万円。本年度通期(08年4月-09年3月)の当初業績予想には旧鉄道敷の売却益は見込んでおらず、当期純利益5300万円などの予想は修正しない。

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この夏から本格的に深刻化した米国発のサブプライムローン問題は、もはや金融危機に止まらず世界恐慌の様相を呈してきている。ただ見方を変えれば、実態のないバブル経済は早めに弾けさせて健全化を図った方がいいとも言え、そういった意味ではこの軽井沢駅用地買収白紙化も数少ない金融危機の「功」の部分と捉えるべきかも知れない。何しろ「日本有数のリゾート地・軽井沢の玄関口にとても相応しいとは思えない」と町議会に全会一致で反対決議をされる体たらくの駅ビル計画だったわけで、ゆっくりと「相応しい」計画を立てるだけの時間を与えられたと前向きに考えたい。

そもそも「しなの鉄道」という3セク自体が公益に軸足を置いており、単体で純粋な利益追求が難しいのは衆目一致のところであるわけだし、仮に用地売却によって一時的に累積債務を解消したところで根本的な問題が解決するわけではない。強心剤が切れれば、また心臓の動きは緩慢になる。つまり、用地売却は何も生まないわけだ。

ただアーバンがコケたことで一時的に計画はストップしたが、またいつ第2のアーバンが現れないとも限らず、もっと強引且つ醜悪な計画が浮上する可能性だってある。町議会はそれを阻止すべく、町による用地買い上げ(=町有地化)を提案しているが、例によって町長は中軽井沢駅と追分宿のハコ物建設推進を第一とするため、当面は様子見を公言している。やはり国を変えるのも町を変えるのも、方法は高い民度による審判(=選挙)しかないようだ。
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by cyril-aw11 | 2008-11-26 23:27 | 軽井沢

いつかはクラウン

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映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」をテレビ放送で見た。数々の映画賞を総なめにした「三丁目の夕日」も以前テレビで見て非常によかったので、ずっとこの続編のテレビ放送を心待ちにしていたのだ(さっさと映画館に行けという話もあるが…)。

多くの方がご覧になりそれぞれの感想をお持ちだろうし、また未見の方もいらっしゃるかもしれないのでここで内容について多くは語らないが、とにかくすごく満たされた気持ちになる映画だった。評論好きの諸氏の間では「やはり続編は落ちる」という意見もあるようだが、少なくともそんなことはないと思う。見ているうちに自然に笑顔になり、また心地の良い涙を流せるという「映画」のエンタテイメント性を十分に突き詰めている。そして何より、スクリーンにおける小雪の存在感が抜群だった。

この「三丁目の夕日」シリーズがその象徴だが、「昭和ブーム」や「懐古趣味」などが取りざたされて久しい。いろいろな見方があるだろうが、私は誰かが言った「いつかはクラウン」という名キャッチフレーズにすべてが集約されているような気がする。つまり「昭和=戦後」は、国民全体が「頑張れば必ず上に行ける」、「幸せになれる」という夢や、明日を信じられた時代の「記号」なのではないかと思うのだ。それだけ現代に生きる人間たちの閉塞感、換言すれば「ただぼんやりとした不安」(芥川龍之介)は強い。

今、世間を騒がせている「元厚生官僚連続殺害事件」といったテロ(犯人が否定してもこれはテロであろう)の横行や、それを「天誅」と喝采するような世相は、戦前の「血盟団事件」から「五・一五事件」、「二・二六事件」と続く暗黒の時代を思わせる。当時の国民は政治の腐敗により政党政治へのあきらめムードが漂い、不景気や富の分配の不平等に怒り、そんな時代に風穴を開けてくれるものとして、これらのテロを熱狂的に支持した背景があった。前途に何の希望も見いだせない、今日より明日が確実に悪くなっていくお先真っ暗な時代。現代とぴったりオーバーラップしてはいないだろうか。

一国の総理大臣が、次期総理大臣と目される野党第一党党首を「嘘つき」呼ばわりし、反対に返す刀で他方を「チンピラ」呼ばわりするような不毛な権力争いが続いている。戦前には良くも悪くも第三の権力として、世相に風穴を開けられるだけの実力を保持した「軍部」があり、またその遥か上には絶対的に不可侵な大きな存在があった。しかしどこにも拠りどころのない今、国民の鬱屈した気持ちはどこに向かえばいいのだろう。映画を見ながらふと、そんなことを考えた。
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by cyril-aw11 | 2008-11-25 10:54 | 日常

「クマは警告する」より その3

[クマに死んだふりは有効か?]

さてクマが人間を「襲う」とたやすく言うが、クマにとってこの行為は一世一代の勇気がいることである。先日の雲場池での接触事故について、ピッキオ状況や概略をまとめているがこの中で彼らは、

「事故現場周辺は道の片側が池、片側が柵となっており、クマが完全に隠れられる場所もない。逃げ場所を失い、追いつめられたような心理状態であったところで複数の人間との距離が非常に近くなり、接触に至ったのではないか」

と的確に分析している。まさにクマが人間と出遭ってしまった場合、彼らは自分を追いかけてこられない程度に相手をやっつけて、一刻も早くその場を離れたい一心なのだ。

その点だけで考えれば、動けなくなったように「死んだふり」をするのにも一理ある。しかしクマの前で死んだふりをするのはいささか勇気がいるし、しかも何かをかぶって横たわるわけではないから無傷ですむ保証もない。おそらくクマは噛んでみたい衝動に駆られるだろう。動物が噛むのにはいろいろな意味があるのだが、本気で噛まなくても痛いだろうし、その結果として声を出してしまえば大きな事故になりかねない。特にクマは、無意識に後頭部や頚動脈が走る側の首や腕などを噛む。となると、やはり無防備な「死んだふり」はリスキーだ。

[具体的な対処方法]

(1)クマは人間が逃げようとすれば必ず全速力で追ってくる。しかしこの時、手元のバッグなどをクマ目がけて投げつければ、必ずそちらに目を向けて正体を確かめようとする。少なくともここで1~2秒稼げ、この一瞬が勝負の分かれ目となる。これは先に触れた宮澤さんの実験結果によるものだ。

(2)次に何をおいても、自分の登りやすい「細い木」を探して飛びつく。くれぐれも注意しなければならないのは、電柱のような太い木を選ばないことだ。太い木は人間には登りにくいが、手鉤の爪を持つクマには好都合でたちまち追いつかれてしまう。

(3)クマが木に登り始めるのを待って、タオルなどをヒラヒラさせながら鼻先に垂らす。すると必ずそれに噛み付いてくるので、噛むのを確かめたら目が隠れるように手を離す。

(4)失敗したら、次は帽子を鼻先に丁寧にかぶせてやる。彼の両手は幹に取り付いているから、叩かれたりする心配はない。

(5)それにも失敗したら、なるべく高いところに避難しつつ上着やシャツを脱いで、鼻先に最後のトライをする。上着やシャツは面積が大きいからかぶせやすいし、クマの方からすれば取り除きにくい。除くには両手が必要で、手を離せば木から落ちる。この衝撃にクマは必ず一目散に走り去ることになる。向こうは両手が使えないことを忘れず、落ちついて慎重にかぶせるようにする。

(6)宮澤さんはもう一つの方法として、唐辛子の辛味成分入りスプレーの携帯も勧めている。射程距離の短いものは自分自身もスプレーを浴びたりして危険な結果になりかねないが、アメリカ製の「COUNTER ASSAULT」などは官公庁でも制式採用され、また成分も動物にとって無害なものでできており、有効だろうと思われる。

[まとめ]

繰り返しになるが、軽井沢は町全体が人間と動物の「臨界」が曖昧な土地であり、思わぬところで接触の可能性があることを想定しておくことが必要だと思う。私もその対策として、気軽な散歩のつもりでもリュックやバッグ、帽子、タオル、上着、熊除け鈴は最低限携帯して出かけるようにしている。

宮澤さんは、「クマは人間と同じ日本最大の雑食性哺乳動物であるが故に、そこに存在することに意味がある」と述べている。つまりこの国の自然の生態系と食物連鎖の環がどこまで保全され、あるいは壊れているかの危険度を表すリトマス試験紙的な存在だということだ。この試験紙が今、我々に見せてくれている結果は非常に重いのではないだろうか。
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by cyril-aw11 | 2008-11-22 23:55 | 自然・環境

「クマは警告する」より その2

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前回の続き
の前に、今朝の「信毎web」より転載(写真も)。

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深夜の民家に熊 小谷・大網で柿の木の上に

 柿を食べようと、人けのない深夜に民家の庭の木に登り、目を光らせる1頭の熊。北安曇郡小谷村の大網(おあみ)集落で16日未明、本紙写真記者が設置した無人カメラがツキノワグマの様子をとらえた。

 旧千国街道(塩の道)沿いにある武田真治さん(73)宅に14日、動物の体温に反応してシャッターが切れる赤外線センサー付き無人カメラを設置。同日から16日にかけて3回作動し、計10コマに熊が写った。木の周辺には食べ残した柿の実が転がっていた。近くに住む元猟師の仁科尚一さん(73)によると同じ熊らしく、体長は1・2-1・3メートル。3、4歳の雄とみられる。

 大網では11月初めから武田さん宅など数カ所の柿の木に出没した形跡があり、村猟友会が捕獲のためのおりを仕掛けている。「うちの柿が被害に遭ったのは初めて。山に餌がないのかな」と武田さん。仁科さんは「(柿の実を)食べ尽くしたらいなくなるだろうが、もうしばらくは出そう。夜は外出しないようにするしかない」と話している。

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これを読んでみると前回少し触れた古人の知恵、すなわち里山と人里の「臨界」に動物たちのための果樹ラインを設け、何らかの理由で食料が乏しかった時に不幸な事故が起こることを防ぐという対策がいかに有効だったがわかる。それがないと今回のように、ダイレクトに人里までクマが入り込んできてしまう。これはお互いにとって不幸なことだ。しかしこの小谷村の住民たちがクマの生息域にともに暮らす者として、大きな心で受け止めたコメントをしてくれていることに深い安堵と嬉しさを感じた。

[不幸にしてクマに出遭ってしまった場合、どうしたらいいのか]

まず慌ててはいけない。大事な一瞬だからである。彼らが理由なく襲うことはない。臨界内であればそのままの姿勢で静かに後ずさりし、臨界の外に出ることだ。

もしこちらの存在を知らずに近づいてきた場合は、すばやく近くの木に登り、大きく枝をゆすりながら大声で何かしら叫ぶといい。いかにも大勢であるかのように。クマは子連れであろうと藪の中に隠れること請け合いである。また出遭いの瞬間、立ち止まって目が合ったら、状況判断をしながら優しく語りかけるように目でサインを送るといい。そして目を離さずに、リュックやかばんを肩から下ろしながらそっとバックする。

クマは目を大きく開き鋭いまなざしになるが、怒っているのではないからつられてはいけない。頭を下げて上目にならない限り襲ってはこないからである。「優しく見ろ」というのには訳がある。クマの恐怖心を和らげる効果は計り知れない。そればかりか、こちらの心にも冷静さとゆとりが生まれるはずである。クマが肩で大きく息をして、こちらが瞬く隙に藪の中に隠れてくれたらありがたい。

五感という面で考えると、人間の耳は地上150センチ前後の障害物の少ない位置にある。だがクマは50センチ前後、植生の最も多い位置にある。また山野は十文字の風が吹いている場合が多い。音源の聞き分けがいかに困難か想像に難くないだろう。そういった理由で思いがけないクマとのバッティングは起こるのだ。

次回はいわゆる「死んだふり」がクマに有効なのかどうかを考察する。
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by cyril-aw11 | 2008-11-18 23:59 | 自然・環境

2シーターのスポーツカー買います。

と言っても、残念ながら自分の話ではない(笑)。知人からセカンドカー購入の相談を受けているのだ。条件は、程度のいい中古で2シーターのスポーツカー。日頃、オンボロ2シーターに雨漏りを直しながら乗っている身としては、自分のものでなくても新規購入のためにあれこれ調べ物をするのが楽しい。予算などの条件もあるが彼の候補としては、S2000、マツダロードスター、フェアレディZ、Z3、Z4、BOXTER。

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私が強烈にプッシュしているのがS2000。「感性に訴えかけてくる哲学車」と評した人がいたが、言い得て妙だ。スポーツドライビングには何が重要なのかを考えさせられる車に違いない。ただ彼自身は、6MTのみというラインアップがイマイチらしい。AT(シフトモード付を含む)でオープンカーをクルージングしつつ、太いトルクでエキゾースト音も楽しみたいらしい(笑)。

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彼が一番魅かれているのがZ3。ご存知、映画「007 ゴールデンアイ」のボンドカーだ。圧倒的な存在感と、マスクのイカツいのがたまらないらしく、3.0iモデルが最有力とのこと。う~ん、確かにボンドカーだけのことはある面構えでカッコイイ。後継のZ4より断然男前だ。もちろん古い車なので装備面でシャビーな面はあるが、そこはクルージングを楽しむセカンドカーなのでそれもアリだろう。

外車は門外漢なのでよくわからないが、同じような状態と思われる車がBMW認定の中古車と、一般の外車ディーラーで売られているものではあまりにも価格の違いが大きくて驚いた。保証面とか整備面で責任を持つということの安心料なのだろうが、日本車でもディーラーの整備や技術力をあまり信頼していない私としては(笑)、随分とお高いな~と感じてしまう。

一般の外車ディーラーでも整備料込みで保証付きの車は多いし、そこまでスプレッドが開く理由がイマイチ理解できないでいる。まあ外車メーカーの日本法人とヤナセの関係すらも理解していない人間の寝言に過ぎないのだが(笑)、とにかく車を探す・選ぶという作業はいくつになっても胸がワクワクするものだ。
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by cyril-aw11 | 2008-11-17 13:36 |

「クマは警告する」より その1

前回のクマの記事に、「クマと出会ってしまったらどうすればよいかを知っておきたい」というコメントを下さった方がいらしたので、少しその辺りをメモ代わりに残しておきたい。

以下は宮澤正義さんの「クマは警告する」からの受け売りである。彼は大学教授でも、動物学者でもない。日頃は野良仕事に精を出すお百姓さんだ。農業の傍ら、幼少の頃から常に身近な存在であったクマに興味を持ち、独学でその生態を学び、ともに同じエリアで生きる毎日を送ることで文字通り「生きた」知識を見につけた。だからこそ、どんな学者や研究者の言葉よりも重く、確かな裏付けがあるのだ。

[クマとの臨界]

臨界とは「ある状態からある状態に移るギリギリの境目」のことで、草食動物と肉食動物のような相互関係の中で、敵に対して避けるべき距離を言い、生態学で使う。

その条件と距離の目安
1. 偶然であり突然の出会い        12メートル
2. 子連れの場合(以下乳幼児グマ)   20M
3. 子グマとこもる巣穴の母グマ  通過  5M  立ち止まる場合 7~8M

個体の年齢差によって一様ではなく、3歳くらいまでは進退窮まらない限り襲う意欲が起こってこないことが多い。真夏(8/1以降)を越えた食い込み最盛期は、気持ちの高揚を考慮して幾分長めに取ること。

臨界内で遭遇したことが原因で母グマに襲われた場合でも、母グマは幼い子グマとの距離に反比例して闘争意欲が薄れること、また子グマへの心配が子グマとの距離に比例して膨らみ、深追いは考えられない。

幼児の子連れと出遭った場合、母グマは間に割って入り、必ず子グマを自分の影に隠すはずである。次に頭を下げ、肩の毛を逆立てる動作を始める。そしてきつく険しい上目になって、チラチラこちらを伺い始めたら非常に危険な状態にあることを示している。母グマは子供が危険な状態にあると思い始め、先にやっつけようか迷い始めたのである。この状態が見えたら20Mを超えていても、急ぎバックして距離をとるべきだという。


[クマの生息域に暮らす]

クマの生息域に住む人々(軽井沢もこれにあたる)には、同じ地上に住む仲間としての心を持って欲しいと宮澤さんは言う。人々は目に見えるから騒ぎ立てるが、生きんがため夜な夜な人間の家の近くを徘徊し、残飯を探しているかもしれない。だから、決してゴミ箱やコンポストなどを屋外に置いたりしてはならない。

野生の行動は、そのほとんどが食糧探しである。行動範囲も「安全」という学習をベースに、限られた範囲でしか行動できないのである。だから異音に気づいて屋外へ出る場合は、彼らの存在を前提にして事前の策を持って臨むべきだ。また外出の際は腰や靴、かばんなどに鈴を付け、タオルや手袋、帽子(この使い方は後に述べる)などで身支度することも必要だ。

では不幸にしてクマに出遭ってしまったらどうすべきか。次回は宮澤さんの著作からその方法を紹介してみたい。
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by cyril-aw11 | 2008-11-09 22:27 | 自然・環境

観光客が熊に襲われけが 軽井沢・雲場池

例によって「信毎web」より。 以下、転載。

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 6日午後1時半ごろ、北佐久郡軽井沢町旧軽井沢の雲場池(くもばいけ)で、観光に来た群馬県高崎市、飲食店店員の女性(60)が熊に襲われ軽いけがをした。熊は逃げ去った。雲場池は紅葉の名所で、軽井沢署は池周辺にいた観光客約50人を避難させた。近くには軽井沢東部小学校もあり、町は下校時の注意を呼び掛けた。

 同署によると、女性は友人2人と訪れ、池西側の遊歩道を最後尾で歩いていたところ、やぶの中から体長約1メートルの熊が現れ、背中を引っかかれた。友人が119番通報し、町内の病院で手当てを受けて帰ったという。

 熊は約30分後、北東に1キロほどの旧軽ロータリー南側で川から上がり、道路を横切って民家の玄関前や庭などをうろついているのを目撃された。水道工事業の女性は「ごみ置き場を荒らそうとしたり、隣家の玄関や庭にしばらくいた後、南の方に逃げた」と話した。

 同署員約20人と地元猟友会員、町から熊対策を受託しているNPO法人「ピッキオ」スタッフらが熊対策犬も連れて捜索したが、臭気が途絶え、見つからなかった。

 雲場池は新幹線軽井沢駅から北西約1キロ余の別荘地にある。町とピッキオは同日、池周辺2カ所に注意を促す看板を設置。7日朝は通学時間帯に付近をパトロールする。

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市街地に近い雲場池にクマが出没したということでかなり大騒ぎされているが、今年のクマの出没数は昨年の半分程度というのが実情のようだ。昨年は旧軽井沢のメイン通りで度々目撃され、別荘地や住宅地でも被害があったが今年はそれがない。恐らく今年は主食のドングリが豊作なのだろう。

今回はコグマのようで、被害も軽く引っかかれただけのもの。冬眠前のエサを探してさまよい歩くうちに道に迷い、突然出会った人に驚いてとっさに身を守ったのだと思われる。あるいは母グマとはぐれてしまったのかもしれない。「ピッキオ」は昨年までに16頭のクマに発信器を付けて行動を追跡しているそうだが、今回のコグマはその対象外だったらしい。

「観光客が襲われたのに町の対応が鈍い」という反応が一部にあったそうだが、あまりにも近視眼的な発言だ。何をどう対応せよというのだろうか。読む限り町はピッキオと連携し、打てる手は十分に打っている。それとも、人間のせいで生存圏から出てこざるを得なくなったクマを、一匹残らず打ち殺せと言うのだろうか。そういう向きは、ニホンオオカミの絶滅の歴史などはご存知ないのだろう。

そもそも軽井沢というのは豊かな自然に囲まれている土地であり、裏を返せば人間と動物の生存圏が非常に近く、その境界があいまいだということだ。それがこの地の魅力のひとつでもあり、一方でこうした危険と常に隣り合わせでもあるということを理解しておかなければならない。かつて人間はお互いの生存のために、里山と下界を隔てる果樹ラインを必ず設けた。しかし現在、そうした先人の知恵は生かされていない。

軽井沢ではいつでもこうしたことが起こり得るのであり、リスクテイクは自分の責任でしなければならない土地なのだ。まさに、「Play At Your Own Risk」。ただ「楽しい!」とか、「美味しい!」とかいう次元だけではなく、長く厳しい冬を迎える動物たちにちょっと思いを馳せてもらえたらと願わずにはいられない。
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by cyril-aw11 | 2008-11-07 20:14 | 軽井沢