カテゴリ:家造り全般( 31 )

山荘づくりの基本

Sさんのご尽力で「約束の地」に出会ってもうすぐ2年。売買契約を交わしてからでも1年半。今年も残すところひと月となりましたが、今年も家は建ちませんでした(笑)。まあ、もうしばらくの間は家が造られていく様子を眺める楽しみがあるとも言えますね。


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別件で本棚をひっくり返していたところ、かつてよく楽しくページを繰っていた「自然を楽しむ週末別荘傑作選」という本を見つけました。軽井沢の別荘建築の将、吉村順三さんの建築から別荘づくりの基本を読み取るという趣向の本で、定住とは言え限りなく山荘のテイストを盛り込みたかった私にも、大きなヒントをくれました。

以下、簡単にまとめておきます。




1. 基礎にコストをかけよ

建築で一番大切なのは基礎です。湿度が高く、寒冷地であり、また傾斜地の別荘地も多い軽井沢では湿気や凍結深度を考えて基礎を深く、高く、堅牢に作っておくことが建物の寿命を長くするための肝と言えます。予算の多くを基礎に費やし、逆に上物は作りこまず森に馴染むようにするのが軽井沢スタイルではないでしょうか。うちは建築家曰く、「ビルみたい」な基礎です(笑)。予算を圧迫し、工期を遅らせています(笑)。

2. 設備は軽装備に

上物をシンプルにすることに通じます。設備類も複雑にすればするほど故障も増え、メンテナンスも複雑化します。自然の恩恵を極力生かす合理的な設備計画、シンプルライフを旨とすればコストカットにもつながります。どうせ設備機器のサイクルは早いので、買い替えの時にグレードアップしてもよいのです。うちはクーラーもありませんし、暖房器具もたった2つです。

3. 居間に大きな開口を

豊かな自然を楽しむのが軽井沢に山荘を構える大きな目的のひとつではないでしょうか。その自然にいかに近づくかが設計プランの一大課題となり、居間にいながらにして自然の中にいるような気分になれること=居間の開口を大きくとるのが定石となります。これは吉村順三さんの言う「ベランダを大きくとる」、「居間と食堂を一室に」という開放スペースのあり方と一体として、うちもすべて取り入れています。

4. 暖炉は必須

これはかつて記事でも書きましたが、炎を見ていると人は不思議と心安らぎます。特に男とは、渡哲也さんが言うように「ムダに火を燃やしたい生き物」なんです(笑)。非日常を楽しむ空間である山荘では暖房器具である薪ストーブ以上に、薪がはぜる音や匂い、立ち上がる炎をダイレクトに感じられる暖炉の前でゆったりとした時間を過ごしたいと画策していました。ただこれも以前に記したように、予算上の都合、仕事との兼ね合いで薪を作る時間的余裕がないことやメンテナンス面などを総合し、現時点ではあきらめました。当面、焚き火は庭で楽しむことにします。そのためのいいアイテムも見つけちゃいました。そのうち公開しますね。

5. 寒冷地対策は万全に

外断熱や内断熱、それを担保する断熱材といった観点での議論が盛んですが、当然のことながら窓や玄関部といった開口部の断熱効率が一番効果的です。結露対策として木製サッシや樹脂サッシを使い、LOW-Eペアガラスは最低限選びたいところです。LOW-Eには室内に日射を採り入れやすく、それを室外に出しにくい「断熱タイプ」と、逆に室内に日射を採り入れにくくブロックする役割を持つ「遮熱タイプ」があります。木々が多く標高が高い軽井沢の夏はあまり厳しくなく、厳しい冬により焦点を当てればすべての窓を「断熱タイプ」にしてもいいかもしれません。ただ軒を深く取って夏の日射を遮り、冬の日射は採り入れるという日本古来の知恵の活用は必須です。また、暖房設備で生まれた暖気を建物自体のシステムで循環するなど空調効率が良化すれば、ランニングコストは抑えられます。

軽井沢、「避暑地」としての利用だけではもったいないです。寒冷地対策を万全にすれば、通年滞在型の楽しみ方が味わえます。しんみり、ほっくり。冬にこそ軽井沢は本当の美しさを見せてくれるはずです。

6. 地元の建築家&大工のコラボが最強

信州の気候風土を最もよく把握しているのは地元の人。もちろん信州といっても広く、できれば軽井沢に根ざした建築家や職人さんにお願いできれば最高です。ですが人材は限られており、またテイストや相性の問題だってありますから、軽井沢近郊に生まれ育った信州人で信頼できる方を探しましょう。どんなに偉い大都市の建築家、ビルダーが軽井沢での件数をこなしていたとしても、やはり信州の厳しい気候風土を子どもの頃から熟知している地元の名人たちにはかなわないと思うんです。
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by cyril-aw11 | 2009-11-29 22:36 | 家造り全般

木材検査

建築家さんと週末を利用して、新潟県にあるプレカット工場まで木材検査に行ってきました。
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現代の建築においてプレカット工場は、なくてはならない存在です。
柱や土台など建築図面の要求するすべての木材を文字通りにあらかじめカットしたり、ホゾ穴
などを開けたりして出荷します。これによって現場での大工さんの役割は、これを図面通りの
番号順に組み立てることに特化されます。

現場の状態や大工さんの能力に左右されることなく、均一なクオリティの木材が保証される
わけです。
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これがそのプレカット・マシン。
図面通りの数値を入力すると、あとはオートマチックに機械が刻んでくれるわけです。

工場長によると工場設立当初は営業をかける先々で、「うちでも棟梁しか任されていない
仕事を機械がやるとは何事だ!」と叱られたそうです。それが徐々に大工さんの繁忙期
である夏期だけはプレカットに任されるようになり、便利さと正確さが浸透してきてようやく
年間通じての仕事が入るようになったそうです。
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and more...
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by cyril-aw11 | 2009-10-11 20:14 | 家造り全般

5C

軽井沢での家造りにあたって延べ100冊近い建築関係の本や雑誌を読んだが、
人様に推薦できるのはたった1冊しかない。「建てどき 藤原和博著」だ。
ちなみにもう1冊を強いて挙げれば、「建築に失敗する方法 林昌二著」となる。

この「建てどき」の中で、著者が自身の家造りのコンセプトとして語る「type-Cの家」。
その骨子となる「7つのC」という考え方が、自分にはすごく腑に落ちた。
その7つの骨子のうちの5つが自分の家造りのコンセプトと完全に一致していたので
自分の「5C」とさせてもらい、自分なりの解釈変更を一部加えた。

・Communication 
 家族のコミュニケーションの潤滑剤となる家
・Community 
 周囲の自然環境に溶け込む家
・Cost performance consciousness 
 合理的な素材選択で建てる家
・Corporative build 
 施主・建築家・施工者が三位一体となって創り育てる家
・Contemporary Japanesque 
 若い世代が担うネオ=ジャパネスク・デザインの家

この5つの骨子に付随する枝葉の部分は、今後書くこともあるかも知れない。
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by cyril-aw11 | 2009-08-17 13:01 | 家造り全般

すまいと MONEY PLAN

さて新年を迎えて家造りも実施設計の段階となり、資金繰りの方も具体的に考える必要が生じてきた。家を建てることがあれば活用しようと古くからずっと頭にあったのは、「すまいと MONEY PLAN」という建築資金出来高支払管理制度である。これは日本ERIの子会社である日本住宅ワランティ(株)が、建築主の資金(自己資金及び融資金)を住宅の完成まで管理し、出来高(工事の進捗状況)に応じて工事代金の支払いを代行するという制度だ。この制度を使えば、日本ワランティ(株)の提携金融機関より建築工事の着工前に住宅ローンが融資実行される。これはスゴイシステムだ。

<特徴1> つなぎ融資不要

本来、住宅ローンとは完成した物件を担保に融資されるものであり、銀行は最初にお金を貸してくれない。しかし実際には住宅完成までに何度か工事代金の支払いがあり、これを一時的な無担保ローンである「つなぎ融資」によってまかなうのが一般的だ。つなぎ融資には団体信用生命保険が付いておらず、代わりに保証料が必要な上に金利も割高、また工務店への支払いが必要な度に窓口へ出向いて手続きをするという煩雑さも付きまとうことになる。

すまいと MONEY PLANを使うことによって面倒なつなぎ融資の手配が不要になり、着工前に金利や期間といった住宅ローンの借り入れ条件のすべてが決定可能となる。勘違いしやすいのだが、一般の住宅ローンでは住宅が完成してからそれを担保に金消契約が結ばれるため、それまで適用金利も決められないという大きなリスクを背負っていることになる。

すまいと MONEY PLANによって実行された住宅ローン(自己資金も含んでよい)は信託口座に預けられ、建築主の建物を建てるためだけに使われる。

信託(trust)とは日本ではなじみが薄いが、ある人Aが自己の財産を信頼できる他人Bに譲渡するとともに、当該財産を運用・管理することで得られる利益をある人Cに与える旨Bと取り決めること、およびそれを基本形として構築された法的枠組みを意味する。Aを委託者(settlor, trustor)、Bを受託者(trustee)、Cを受益者(beneficiary)、そして信託された財産を信託財産と呼ぶ。受託者は名目上信託財産の所有権を有するが、その管理・処分は受益者の利益のために行わなければならないという義務(忠実義務)を負う。

信託法16条により、工務店・日本住宅ワランティ(株)・実行金融機関のいずれに万一のことがあっても資金は完全に保全される。

<特徴2> 支払い代行

本来の工事請負契約では、完成した建物と建築代金を工務店と建築主が同時に交換するべきとされていても、実際には「契約時に1割、着工時・上棟時・完成時にそれぞれ3割ずつ」といった前払い金が必要となることが多く、しかもこれは実際の住宅の出来上がり状況に比べると支払い過ぎの傾向にある。つまり、建築主は工事の進捗状況に合っていない金額を支払っていることになる。

すまいと MONEY PLANでは委託を受けたJIOの調査員が工事進捗状況の確認と検査を行い、それを建築主に報告した上で信託口座から工務店に代金が支払われる。実際に工事が終了した分の代金を払っていくため、過払いが生じることはない。検査機関によるチェックが入ることも安心だ。

<特徴3> 完成保証

これも勘違いしやすいポイントなのだが、通常では建築中の建物は工務店のものであって建築主のものではない。もし工務店が倒産すれば、工事中の建物は債権者や施工者・納材者に差し押さえられ、工事はストップしたまま。その上、すでに支払った代金が返済される可能性はほぼゼロとなる。自分の家なのに、他人のもの。これが一般的な建築請負契約に潜む危険性である。

すまいと MONEY PLANでは最初から建物の所有権が建築主にあり、完成に必要な建築資金は信託口座で保全されている。途中で止まった工事は別の工務店を手配して続行され、完成保証団体が工事の完成を約束している。建築代金のすべてを現金で決済できる余裕のある建築主でも、あえてローンを組んでこのシステムにより所有権の確保と完成保証を手に入れることも、こういうご時世だけに大きな意味を持つだろう。

もちろん、すまいと MONEY PLANというシステムのメリットを享受するには、建築主にも工務店にも相応の負担が求められることになる。

建築主には信託口座設定料63,000円と、建築請負工事代金の1%相当の支払い手数料。これだけだ。はっきり言って安い。3000万円の家でわずか30万円である。つなぎ融資の金利や保証料などを考えれば、この金額で完全なリスク・ヘッジができれば儲けものだと思う。

工務店側には現場保険の付保、地盤調査の実施、瑕疵保証制度の付保、完成保証制度への登録、JIOによる建築中の工事進捗検査確認(4回)などが課せられる。しかしこれも真っ当な工務店であれば当然クリアしているか、少々プラスする必要があるくらいのハードルである。逆にこの条件に難色を示すような工務店であれば、最初から依頼するべきではないだろう。そういった意味では、工務店の健全性を把握する格好のリトマス試験紙となるかもしれない。

少々長くなってしまったが、こういうご時世だからこそ検討に値するシステムではないだろうか。
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by cyril-aw11 | 2009-01-10 21:00 | 家造り全般

「居住中」?それとも「空き家」?

2008年も終わろうとしているが、今年(特に後半)は急速に悪化した経済情勢から不動産不況がキツくなった。数々のデベロッパーやマンション業者が倒産し、ここ軽井沢でもそのいくつかが影響を受けたような話も聞く。

思ったよりも時間がかかったとはいえ、そんな状況下で住居を売却でき、次のステップに進めた我が家は本当に僥倖だったと思う。そして、毎週末ごとに「今週はお客が見に来るだろうか」、「今週も反響がなかった」、「気に入っていたようなのに、何がいけなくて購入申し込みに至らなかったのだろうか」、「今週は所用で不在だったが、見学希望の客もいたのではないか」などなど、気の休まる暇のなかった無限回廊から脱せたことに深く安堵している。やはり住み替えにおける「買い先行」は精神衛生上よくない。

さて、持ち家を売却する際に必ず直面するのが「居住中のまま」売るか、「空き家」にして売るかという問題だろう。私も最初に仲介の不動産業者にその点を尋ねたが、「別に居住されていて構わないですよ」ということだった。引っ越しや仮住まいの手間や費用もかかるし、また売主の心理として何とか良い点を自らアピールしたいという思いもあり、ずるずると居住を続けてしまったのが失敗だったと今では確信している。

自分がその家を購入した際、数多くの中古物件を内覧した。その時のことを思い出せば結果は明らかだ。売主の目を気にせず、じっくりとクローゼットの中まで開けて良い点・悪い点をチェックできる。わからないことは直接売主からではなく、仲介業者を通して聞けばいいわけで、何もその場ですべての回答が欲しいわけではない。本当にその物件が気に入れば、何度でも足を運ぶのだから。そもそも売主が売却に都合の悪いことをわざわざ話すわけがない。だから売主もアピールポイントなどはそれとなく業者に話しておき、追加の質問などにはその都度答えるだけで良いのだ。結果、自分が購入した時も「空き家」だった。

言い切ってしまえば、不動産は中古であれ新築であれ、買主が勝手に想像を膨らませて思い込みで買うのが一番いいのではないか。売主は姿を見せず、その人格や生活臭を消して「モノ」としてニュートラルに売るということだ。誰かが「おばあちゃんの手作りヨモギ団子なら作り手の姿が見えるのは売りになるが、住まい手の調度品や生活スタイルは邪魔にしかならない」と言っていたが、なるほどと思う。契約時すら顔を合わせたくないという人もいるし、自分より若い売主にあれこれ先輩面で使い方なんかを教えて欲しくはないという人もいる。人さまざまなわけで、やはり「モノ」としてニュートラルに売り抜けるのがよいように思う。

「この場所に住みたい」という買主は必ずいるわけで、ある不動産業者は「この世に売れない物件はない」とも言っていた。だから勇気はいるけれど、引っ越して空き家にする。壁紙くらいは貼り替えて、その周辺の不動産相場より5~10%程度は安く売り出す。それでも最初の媒介契約期間の3か月で結果が出なければ、まだ価格が高いということだろう。売主はその物件に思い入れもあるし、いい物件だと思っているから安くは売りたくない。でも買主はニュートラルに「モノ」としての価値を見ている。「市場価格がその公平な価値水準なのだと受け入れることが早期売却への近道だ」と理解するのには時間がかかってしまった。
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by cyril-aw11 | 2008-12-26 13:26 | 家造り全般

ゼロ金利政策と住宅ローン

今朝の「信毎web」より。以下、転載。

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【米、FF金利0-0・25% 不況阻止へゼロ金利に移行】

 米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、主要な政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の1・0%から大幅に引き下げ、年0・0-0・25%に設定することを全会一致で決定した。FRBは事実上、ゼロ金利政策に移行した。即日実施。日米の政策金利は逆転し、FF金利の誘導目標は日銀の目標を下回った。FRBは大量の資金を金融市場に供給する量的緩和の拡充方針も打ち出した。
 FF金利は主要な金融政策目標となった1990年以降で最低水準を更新した。昨年12月に始まった米景気後退は一段と深刻化しているため、過去に前例のない金融緩和に踏み込むことで金融正常化と景気下支えを目指す姿勢を鮮明にした。
 FF金利目標はこれまで、2003年6月から04年6月までの1年間と今年10月以降の1・0%が最低だった。FRBは今回の利下げで、米サブプライム住宅ローン問題による金融混乱で昨年9月に本格的な金融緩和に転じてからFF金利目標を合計5%以上引き下げたことになる。

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アメリカが実質ゼロ金利に移行という未曽有(麻生首相風に言えばみぞゆう)の事態になった。これを受けて金融株を中心にダウは急騰、日本株式も何とか反発。こちらも金融株や、先に政府が住宅・不動産関連の緊急対策を発表したことで安心感が広がってきていた不動産株が上昇率上位を占めた。ようやく不動産業界に資金が流入、黒字倒産はじめ新興系不動産企業の破綻が相次いだ異常事態は正常化に向かう、底入れだとの向きもあるが、それは甘過ぎる見通しだろう。不動産市況は、今年より確実に来年の方が悪い。ともかく19日には日銀政策決定会合が開かれるが、アメリカが予想以上に本気の緩和政策に踏み切ったことで、日本のゼロ金利復活は確定だろう。

で、本題。我が家のようにこれから大きな借金を抱える家庭にとって、ゼロ金利政策復活は僥倖である。土地の先行決済をした時にも前月の適用金利より0.1%下がっていたのだが、このわずか0.1%がどれほどのメリットをもたらすかは計算書を一目見ればわかることだ。さて、ここで住宅ローンにまつわるよくある疑問についてまとめておきたい。

【元利均等方式か、元金均等方式か】
ローンを組む際の基本的な考え方は、(1)支払総額を少なくし、(2)当初の元金支払額を多くするという点にある。元利均等方式は月々の返済額が一定で、元金均等方式に比べて負担が少ない一方、返済当初は利息ばかりを払っていることになり、元金はほとんど減っていない。となれば、文句なく元金均等方式に分がある。こちらは確実に元金が減る。利息が高い時期に借入残高が少ないほど有利なのは明らかだ。つまり一番効率がいいのは、「元金均等にし、最初の数年で繰り上げ返済をどんどんしていく」ということになる。

【変動金利か、固定金利か】
ゼロ金利政策下では、これ以上の金利低下は当然ない。つまり金利は今後、上昇の余地しかない。かと言って、固定金利が絶対に有利とは言い切れないのだ。バブル崩壊後、7~8%あった住宅ローン金利は急低下し、ここ10年は横ばいである。つまりずっと金利は上がる上がると言い続けられてきたが、そうならなかったのはご存じの通りだ。金利の上昇には当然、経済自体の回復が不可欠である。日本(世界)は現在そうした状況になく、近い将来も難しくインフレ期ではない。仮に今後金利が急上昇したとしても、そうなれば当然貯蓄してきた資産も好条件で回せることになり、また借入残高も減っているわけだから十分にヘッジは効くと思われる。

よくある勘違いは、30年後にも当初の借入額を掛け算してしまうことだ。先に述べたように、元金均等で最初の数年で繰り上げ返済をどんどんしていけば金利が急上昇した頃には残高も大きく減っており、有利な条件での借り換えだって十分可能になっているはずだ。

【シミュレーション】

例 5,000万円を、35年間借りる。

a)当初10年間固定金利2.0%、以降は店頭金利から0.4%優遇
b)35年間固定金利2.5%

(1)当初10年間の支払総額
a)1,988万円(元金残高3,908万円)
b)2,145万円(元金残高3,984万円)
つまり、a)の方が157万円少なく、元金残高も76万円減らすことができる。

(2)35年間での支払総額
b)の総支払額は7,507万円となり、a)をこれと同額にするにはa)の残存25年間の総支払額が5,520万円となればよい。これは元金3,908万円として、25年間の平均金利が2.935%以下であればよいことになる。実際には店頭優遇金利(-0.4%)があるので、3.335%以下であればよい。

固定金利商品は、銀行にとって絶対にロスしないラインが設定されているのは当然で、非常に大きなプレミアムの付いた金利が設定されている。短プラ連動の完全変動金利商品は管理が難しいが、当初固定期間付きの変動金利商品を是非活用したい。変動金利と言っても3年や5年しか当初固定期間のないものよりは、10年物くらいにしておいた方が低金利のメリットを享受して借入残高を減らしつつ、借り換えによる手数料などのデメリットをカバーでき、バランス的に有利だと思われる。
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by cyril-aw11 | 2008-12-17 15:26 | 家造り全般

冬の終わる日 その2

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少し間が空いたが、前回の続き。こんにちは浅間山。

さて、結果的に「売り先行」になってしまった我が家の住み替え計画だったが、これは相当精神的にキツかった。余剰資金がある方のセカンドハウス購入とは違い、住宅ローンを抱えながらの住み替えは、現住居を売って抵当権を外さない限り何も始まらない。一旦、現住居のローンを売却資金で完済し、新たに軽井沢での住居用に住宅ローンの設定が必要になる。とは言え「約束の地」を見つけてしまったので、「現住居が売れ次第、住み替え計画を実行する」という事情説明でOKを出してくれた銀行から、「つなぎ融資」を受ける形で土地だけを先行決済した。「つなぎ融資」は様々な面でムダが多いし、できればこういう綱渡り的なことはしたくなかったが、他に選択肢がなかったのだ。

今年に入ってからの不動産不況に加え、いわゆる住宅地ではないリゾート系の物件だったこともあり、売却は苦戦した。地元の生活者向けの物件ではない別荘、また半定住や定住目的の場合であっても、購入者が「ここに必ずいつまでに」という必要性を持っていないので、決して冷やかしではなくても、なかなか決められないことが多い。今の生活拠点が現にあるので、決断する必要がないのだ。購入者それぞれの判断基準がその予算内で満たされていないと感じれば、何も無理に成約する必要はないということになる。

どこかの不動産業者が言っていたが、不動産と他の物の売り方は大きく違う。通常の大量生産品を売る場合は多くの消費者に買ってもらう必要があるので、店頭に多くの商品を並べてCMを流し、多数の同じ物と多数の異なる消費者をマッチングしなければならない。これに対して不動産はこの世に同じものは一つもないので、その唯一のものをたった一人の購入者に買ってもらえばいい。結果として購入するその一人にさえ、情報が届けばいいということだ。つまり不動産売却に必要なことは、「たった一つの物件の情報を、たった一人の買主に伝えきること」だそうだ。

その物件情報を売主が伝えるのにも、買主が入手するのにも欠かせないツールとなったのがインターネットだ。購入者の地域が限定される都市部の住宅や賃貸住宅などでは、ピンポイントのチラシ広告が威力を発揮することもあるが、田舎暮らしやリゾート物件は購入見込み者がどこに住んでいるかわからないため、インターネットの活用が欠かせない。欲しい情報に24時間どこからでもアクセスでき、不動産各社も紙媒体からネットに宣伝・広告をシフトしているため、ずいぶん中身の充実したサイトが多い。ただ、ネット上というバーチャルな情報がそろい過ぎてしまった結果、頭でっかちになってしまっているユーザーも増加し、なかなか現地案内に持っていけないという業者泣かせの状況も作り出してしまっているようだ。

また、どこにいるかわからない購入者へメッセージを送るという意味合いにおいては、現地周辺のみを営業圏にしている地元業者だけではなく、本社を東京に持つ大手業者も媒介先に加えておくべきだと思う。我が家の場合、そうした業者の東京本社に問い合わせ、現地案内を経た方が購入者となった。
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by cyril-aw11 | 2008-12-12 23:23 | 家造り全般

冬の終わる日 その1

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晴れて長野県民になった。さようなら富士山。

住み替えをして、「軽井沢に家を建てよう!」と決断したのが昨年の7月。何をどこから始めていいのやらと五里霧中ではあったが、とりあえず地元のA不動産と「専属専任媒介契約」を結び、住んでいた住居を売りに出した。この時点では手持ち物件の売却を先行して進めていたので、「売り先行」だった。住み替えにおいて売り先行のメリットは、売却に関する価格やスケジュールの目安をつかんで購入物件を決められるので、安全性が高いことにある。売却をあせる必要がないため、売却価格やその他の条件についてじっくり詰めて進めることができ、また売却物件と購入物件のローンが重なって二重返済に苦しむこともない。

デメリットとしては売却契約をしてしまえばスケジュールが確定し、その時点で購入物件が決まっていない場合は仮住まいの用意などが必要になるということがある。だが私の場合は、現地での実生活を通じて軽井沢の実際を肌で感じておきたかったし、実施設計に入れば毎週のように行われることになる建築家との打ち合わせを考えて、もともとなるべく早い時期に仮住まいを始めようと思っていたので何らデメリットではなく、早期に売却が進むことを願っていた。

しかし、専属契約期間の3ヶ月はあっという間に過ぎた。当初から「オンシーズンの夏の軽井沢ではなく、オフシーズンの冬の軽井沢で土地探しをする」ことを計画していたため、売却の専属契約を更新する一方で、軽井沢での土地探しも平行して始めることになった。購入契約こそずいぶん後になるが今年の1月には「約束の地」と出会い、移住計画の目鼻は付いたものの、売却の方は遅々として進まなかった。

そこでA不動産との専属契約を満期のタイミングで解除して一般媒介契約に切り替え、B不動産およびC不動産とも一般媒介契約を結ぶ方針変更を行った。不動産媒介契約には、売却を依頼する不動産会社を1社にするか複数にするかなどの違いによって、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの種類があり、それぞれの契約の最長限度は3ヶ月となっている。どの形態を選ぶのかよいかはまさしくケースバイケースだが、自分の経験だけを通じて言えば「一般媒介契約」がよいと思う。

私が読んだ多くの不動産関係の本では、「売却依頼を1社に絞ることで売れるも売れないも自分の売却活動次第となるため、売主の期待に応えるため広く宣伝活動を優先的に行ったり、少しでも多くの自社の顧客に紹介するなど、より積極的な活動が期待できる」と専属専任媒介契約を勧めていたが、恐らくあのままA不動産だけで売却活動を行っていたら、まだ売れずに悶々とした日々を送っていただろうと思う。決してA不動産の怠慢ではない。担当者は最後まで一番腹を割って何でも相談できる人だったし、できれば彼と成約したかった。

一生懸命に早期売却に向けて活動し続けてくれた彼の方が、「一般媒介契約にして幅広く買主を募った方が効率がいい。景気後退により不動産市場は低迷を続けており、特に住宅地でないリゾートは厳しい。そんな状況の中、業者は専属だろうと一般だろうと関係なく目先の一軒の成約に躍起になっているのが現状だから」とアドバイスしてくれたのだ。果たして成約に至ったのは、最後の最後に一般媒介契約を結んだ4社目のD不動産だった。購入申し込みが入ったのは、依頼してわずか3週間後のこと。魚のいない生簀にいくら釣り糸を垂れても結果は出ない。ならば魚を求めて生簀の量を増やすべきだと思う。

続く。
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by cyril-aw11 | 2008-11-29 17:14 | 家造り全般

県産材の家造りで一斉見学会開催へ

またもや「信毎web」から。以下、転載。
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 県産材を使った家造りに取り組む工務店など県内の28企業・団体が11月15、16日、県内全域で一斉に住宅見学会を開く。大手住宅メーカーが県内に展示場を相次ぎ建設するなど業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、地場の工務店が連携して競争力を高めよう-と初めて企画。間伐材の利用を進めることで県内の森林保全にも役立ち、地場産業の活性化にもつながるとPRし、大手との差異化も図る。全県規模の一斉住宅見学会は、全国的にも珍しい試みという。
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詳細は「信州木楽ネット」(写真も)を参照されたい。

ご存じの通り、緑豊かな長野県はその約80%が森林であり、今頃の時期から「利用間伐」が盛んになる。これは「山の木を全部切らずに30%程度伐採し、山の手入れと兼ねた木材生産をする」というまさに木こりがやっていた作業。これによって森林には地面まで陽が差し込んで下草が育つようになり、一本一本の木も太く高く伸びることができ、風が通り抜けるようになることで虫や鳥も好んでやってくる豊かな場所へとなっていく。

手つかずの自然林と違い、人間が作った森林は木の畑ととらえるべきで、維持していくためにはやはり人間の手によるアフターケアが欠かせない。木を一本たりとも伐ってはいけないというのは間違いなのだ。

地産池消という観点からもエコであるし、また自分の住んでいる土地とつながる山の木を誰がどのように加工して手元に届き、どのように使われているのかを知れるというのは家造りをより楽しくし、また自分の家への愛着をより深くするのではないだろうか。
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by cyril-aw11 | 2008-10-23 16:16 | 家造り全般

雑感の補足

家造りにまつわることには、よく「縁」という言葉が使われる。特に土地探しは「縁が取り結ぶもの」とか「ご縁があった」などと言われる。私が今回の土地探しにおいて唯一信頼してお付き合い頂いた不動産屋さん(以後、Sさん)も、初めてお会いした当初からよくこの言葉を使われていた。

でも正直な話、私はこの言葉が苦手だった。ビートルズの「Let It Be」ではないが、向こうからご縁がやってくるのを待っているなんて短気な自分にはとてもできないと思ったし(笑)、もしそれしか方法がないのであれば、能動的に活動することが無駄なのではないかと思っていたからだ。でも今振り返れば、やはり全ては「縁」の取り成す業だったのだと思える。

以前経過を書いたが、軽井沢での土地探しで最初に訪れたA社の営業マンは最悪だった。そして、2番目にお会いしたのがSさんだった。最初の印象は今でも変わらず、プロとして持っている知識や情報を私に下ろし、それを基にした私の判断をサポートしてくれた。長い土地探しの旅を時には励まし、時には叱咤しながら先導し続けてくれた。私は全部で4社の営業マンと接触したが、最後までお付き合いを続けたのはSさんだけで(正確に言えばお付き合いが続いているのはもう1社あるのだが、そこは何と今回決めた土地の売主だった。同じ土地を私の嗜好に合うと、お互いにお付き合いのあるお二人が勧めてくれたのにも「縁」を感じた)、本当に根気強く私の難しい条件に合う土地を一緒に探し続けてくれたと思う。

不動産巡りをしていると「これは全く見るまでもナシ」という的外れな物件を見せられることは経験されている方も多いと思うが、Sさんのすごいところはこれが全くなかったことだ。常に見せてくれる物件は何かがかすっていた。顧客のニーズに真摯に向き合っているからこそだろう。

「軽井沢ブルー」などという言葉もあるぐらい閉塞感のある、暗く長く寒い冬に土地探しをしたこともよかったと思う。この時季は確かに新しい物件が数多く出てくるわけではないが、その反面別荘ではなく生活の拠点として物件を選ぶ場合には、一番辛い時季にどういう状況になるかを踏まえてじっくり見定められるメリットもある。実際に決めた土地に冬季の除雪は基本的に入らないのだが、珍しくドカ雪となった今冬の軽井沢の状況でも、自分の4駆で全く問題がないことを何度も確かめられたことなどはその際たる例だろう。

そして木々は葉を落とし草は枯れて茶色となり、その上をドカ雪が覆っていた状態で購入しただけに、春になって雪が融け新緑が芽吹いた状態を初めて見た時は本当に驚いたし、まさに景色が違って見えた。一番悪い状態を見ておけば、後は良くなるばかりなんだということを再認識した次第だった。
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by cyril-aw11 | 2008-07-14 12:26 | 家造り全般