「クマは警告する」より その1

前回のクマの記事に、「クマと出会ってしまったらどうすればよいかを知っておきたい」というコメントを下さった方がいらしたので、少しその辺りをメモ代わりに残しておきたい。

以下は宮澤正義さんの「クマは警告する」からの受け売りである。彼は大学教授でも、動物学者でもない。日頃は野良仕事に精を出すお百姓さんだ。農業の傍ら、幼少の頃から常に身近な存在であったクマに興味を持ち、独学でその生態を学び、ともに同じエリアで生きる毎日を送ることで文字通り「生きた」知識を見につけた。だからこそ、どんな学者や研究者の言葉よりも重く、確かな裏付けがあるのだ。

[クマとの臨界]

臨界とは「ある状態からある状態に移るギリギリの境目」のことで、草食動物と肉食動物のような相互関係の中で、敵に対して避けるべき距離を言い、生態学で使う。

その条件と距離の目安
1. 偶然であり突然の出会い        12メートル
2. 子連れの場合(以下乳幼児グマ)   20M
3. 子グマとこもる巣穴の母グマ  通過  5M  立ち止まる場合 7~8M

個体の年齢差によって一様ではなく、3歳くらいまでは進退窮まらない限り襲う意欲が起こってこないことが多い。真夏(8/1以降)を越えた食い込み最盛期は、気持ちの高揚を考慮して幾分長めに取ること。

臨界内で遭遇したことが原因で母グマに襲われた場合でも、母グマは幼い子グマとの距離に反比例して闘争意欲が薄れること、また子グマへの心配が子グマとの距離に比例して膨らみ、深追いは考えられない。

幼児の子連れと出遭った場合、母グマは間に割って入り、必ず子グマを自分の影に隠すはずである。次に頭を下げ、肩の毛を逆立てる動作を始める。そしてきつく険しい上目になって、チラチラこちらを伺い始めたら非常に危険な状態にあることを示している。母グマは子供が危険な状態にあると思い始め、先にやっつけようか迷い始めたのである。この状態が見えたら20Mを超えていても、急ぎバックして距離をとるべきだという。


[クマの生息域に暮らす]

クマの生息域に住む人々(軽井沢もこれにあたる)には、同じ地上に住む仲間としての心を持って欲しいと宮澤さんは言う。人々は目に見えるから騒ぎ立てるが、生きんがため夜な夜な人間の家の近くを徘徊し、残飯を探しているかもしれない。だから、決してゴミ箱やコンポストなどを屋外に置いたりしてはならない。

野生の行動は、そのほとんどが食糧探しである。行動範囲も「安全」という学習をベースに、限られた範囲でしか行動できないのである。だから異音に気づいて屋外へ出る場合は、彼らの存在を前提にして事前の策を持って臨むべきだ。また外出の際は腰や靴、かばんなどに鈴を付け、タオルや手袋、帽子(この使い方は後に述べる)などで身支度することも必要だ。

では不幸にしてクマに出遭ってしまったらどうすべきか。次回は宮澤さんの著作からその方法を紹介してみたい。
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by cyril-aw11 | 2008-11-09 22:27 | 自然・環境
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