観光客が熊に襲われけが 軽井沢・雲場池

例によって「信毎web」より。 以下、転載。

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 6日午後1時半ごろ、北佐久郡軽井沢町旧軽井沢の雲場池(くもばいけ)で、観光に来た群馬県高崎市、飲食店店員の女性(60)が熊に襲われ軽いけがをした。熊は逃げ去った。雲場池は紅葉の名所で、軽井沢署は池周辺にいた観光客約50人を避難させた。近くには軽井沢東部小学校もあり、町は下校時の注意を呼び掛けた。

 同署によると、女性は友人2人と訪れ、池西側の遊歩道を最後尾で歩いていたところ、やぶの中から体長約1メートルの熊が現れ、背中を引っかかれた。友人が119番通報し、町内の病院で手当てを受けて帰ったという。

 熊は約30分後、北東に1キロほどの旧軽ロータリー南側で川から上がり、道路を横切って民家の玄関前や庭などをうろついているのを目撃された。水道工事業の女性は「ごみ置き場を荒らそうとしたり、隣家の玄関や庭にしばらくいた後、南の方に逃げた」と話した。

 同署員約20人と地元猟友会員、町から熊対策を受託しているNPO法人「ピッキオ」スタッフらが熊対策犬も連れて捜索したが、臭気が途絶え、見つからなかった。

 雲場池は新幹線軽井沢駅から北西約1キロ余の別荘地にある。町とピッキオは同日、池周辺2カ所に注意を促す看板を設置。7日朝は通学時間帯に付近をパトロールする。

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市街地に近い雲場池にクマが出没したということでかなり大騒ぎされているが、今年のクマの出没数は昨年の半分程度というのが実情のようだ。昨年は旧軽井沢のメイン通りで度々目撃され、別荘地や住宅地でも被害があったが今年はそれがない。恐らく今年は主食のドングリが豊作なのだろう。

今回はコグマのようで、被害も軽く引っかかれただけのもの。冬眠前のエサを探してさまよい歩くうちに道に迷い、突然出会った人に驚いてとっさに身を守ったのだと思われる。あるいは母グマとはぐれてしまったのかもしれない。「ピッキオ」は昨年までに16頭のクマに発信器を付けて行動を追跡しているそうだが、今回のコグマはその対象外だったらしい。

「観光客が襲われたのに町の対応が鈍い」という反応が一部にあったそうだが、あまりにも近視眼的な発言だ。何をどう対応せよというのだろうか。読む限り町はピッキオと連携し、打てる手は十分に打っている。それとも、人間のせいで生存圏から出てこざるを得なくなったクマを、一匹残らず打ち殺せと言うのだろうか。そういう向きは、ニホンオオカミの絶滅の歴史などはご存知ないのだろう。

そもそも軽井沢というのは豊かな自然に囲まれている土地であり、裏を返せば人間と動物の生存圏が非常に近く、その境界があいまいだということだ。それがこの地の魅力のひとつでもあり、一方でこうした危険と常に隣り合わせでもあるということを理解しておかなければならない。かつて人間はお互いの生存のために、里山と下界を隔てる果樹ラインを必ず設けた。しかし現在、そうした先人の知恵は生かされていない。

軽井沢ではいつでもこうしたことが起こり得るのであり、リスクテイクは自分の責任でしなければならない土地なのだ。まさに、「Play At Your Own Risk」。ただ「楽しい!」とか、「美味しい!」とかいう次元だけではなく、長く厳しい冬を迎える動物たちにちょっと思いを馳せてもらえたらと願わずにはいられない。
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by cyril-aw11 | 2008-11-07 20:14 | 軽井沢
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