寒い冬? その2

さて北極の北西航路が有史以来初めて開けたことは、北極の氷が近年かつてないスピードで縮小していることを示している。

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写真は2007年9月上旬のESAによる北極地域の画像で、オレンジがかった黄色の線は北西航路を、青色の線は、ロシアの北を通る北東航路(こちらは一部氷が残っている)を示している。

濃いグレーの部分は氷のない海域を、中央のやや緑がかった部分は海氷を示す。





大航海時代以来、ヨーロッパから北米大陸へ移動しようとした探検家や船乗りたちは、何世紀にも渡って「北西航路」を探し求めてきた。北米大陸を川伝いに抜けるか、北岸沿いに進むかのルートだ。

しかしヨーロッパとアジアを直接結ぶ航路があれば、時間も費用も大幅に節約できる。北西航路が見つからなかったことが、次善策としてのパナマ運河建設に結びついたと言える。その後、北西航路のルートはいくつか発見されたが、大回りな上に大部分が氷に阻まれていて、商業的に使用できるものではなかった。

そんな中で、この「大発見」だ。そうなると醜い人間の性で、早くも政治的な対立が勃発している。カナダが自国領土の北側海域の領有権を主張し、アメリカはそれに異を唱え、ロシアもその底に眠る海底資源の領有権を主張し始めた。北極の氷の減少が予想を上回るペースで進んでいる証拠であり、地球規模のバッドニュースに直面してもなお、この体たらくには情けなさを通りこして呆れる他はない。

ESAのプレスリリース「衛星で確認、北極海の海氷面積が史上最少に」から、デンマーク国立宇宙センターのLeif Toudal Pedersen准教授の発言を引用しておく。

(1)われわれは、海氷面積がわずか300万平方キロメートル前後にまで減少しているのを確認した。これは2005年および2006年の最小値と比べて約100万平方キロ少ない。

(2)海氷面積は、過去10年の間で、年間約10万平方キロのペースで減少していたから、わずか1年で100万平方キロも減少したことになる。これは非常に極端なペースだ。

(3)たった1年で急激に減少したことで、(夏季の)氷が予想よりずっと速く消滅する懸念は間違いなく高まった。何が起きているのか、早急に解明する必要がある。

この項つづく。
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by cyril-aw11 | 2008-02-19 12:57 | 自然・環境
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