夢の扉~NEXT DOOR 溝口俊夫さん

私が好きでよく見ているテレビ番組に「夢の扉~NEXT DOOR」がある。TBS系で日曜の18:30から放送しているもので、サブタイトルにあるように様々な分野で「いつの日か」を「今日」に変える取り組みをしている人たちのドキュメンタリーだ。

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昨夜の放送は、福島県の安達太良山にある福島県鳥獣保護センターで野生動物専門の獣医として働いている溝口俊夫さん。かつて獣医を志したが叶わなかった私のヒーローだ。「情熱大陸」をはじめ様々なメディアで取り上げられることも多い方で、タヌキ、キツネ、ムササビ、クマなど1年間で400頭近い野生動物を治療している。

こうした傷ついた野生動物を献身的に治療する、いわゆる「赤ひげ先生」なら日本全国にたくさんいるかもしれない。溝口さんがこうして取り上げられるのは、彼がただ傷ついた野生動物を治療するだけにとどまらず、「なぜ野生動物は傷つくのか」という根本的な問題を解決するため、動物の目線に立って物事を検証しているからだ。野生動物の生態、保護された場所の環境などをスタッフとともに一から調査し、人間と動物がともに生きていく、「共生」していくためにはどうしたらいいのかを考察していく。

その最たるものが「エコロード」だろう。動物たちが通る道と人間が利用する道路が交錯する箇所を研究して割り出し、動物たちに安全な道を確保しようとするものだ。ある道路でタヌキの交通事故が後を絶たないとする。そこで溝口さんは現場という現場に足を運び、そこに這いつくばって目線をタヌキに合わせてみる。すると彼らの低い視点からでは、見通しがほとんど利かないことがわかる。山に住むタヌキは山よりもエサが容易に取れることからすそ野の田んぼに遠征していたのだが、その山と田んぼの間に突如として道路が通ってしまった。タヌキにそんな事情はわからないから、いつものようにエサを取りに行こうとして交通事故に遭ってしまうという具合だ。

そうした人間と動物の双方に不幸な事故を避けるため、溝口さんは山を切り拓いて造られるような道路に設計段階から加わったり、動物が人間の道路を横断しなくてもすむように動物専用トンネルを企画・提案したりして、「共生」社会の実現に尽力している。その成果は如実に現れ、ある道路の下を通した動物専用トンネルができて以来、その道路での動物の交通事故はゼロになったという。

溝口さんの活動が全国的に見ても先進的であることは疑いがないが、公的な自治体がこうした専門家とタッグを組んで積極的に「共生」に取り組んでいることにも拍手を送りたい。溝口さんの働く鳥獣保護センターも県の施設なのであり、強者が弱者にあるいは弱者が強者に一方的な犠牲を強いることなく、「共生」の道を探っている福島県の慧眼は賞賛に値すると思うのだ。

「2025年までに人間と野生動物がそれぞれ命を謳歌できる地球にしたい」。
それが溝口さんのMY GOALだという。本当に様々な示唆に富んだ話だった。

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by cyril-aw11 | 2007-12-03 13:33 | 自然・環境
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