八ヶ岳倶楽部の雑木林

遠く信州に引っ越してきて、心底よかったと思うのは2人のマイ・ヒーローにお会いできたことです。一人はアファンの森財団を主催するC.W.ニコルさん、そしてもう一人が八ヶ岳倶楽部の創始者である柳生博さんです。

お2人とも荒廃した人工林に手を入れて本来の豊かな植生を取り戻すことに取り組まれた方ですが、そのスタンスは微妙に違っているように思います。
f0158627_20532582.jpg

アファンの森は財団として活動しているように、トラスト地を広げながら大きなサンクチュアリ造りを展開しています。しかしその森造りの実際の担い手はニコルさんではなく、彼から委託を受けた松木さんという地元・黒姫のおじいちゃんです。

一方の八ヶ岳倶楽部は1970年代後半に柳生さんが買い求めたアカマツだらけの荒地を家族みんなで間伐し、枝打ちし、そして植樹して作り上げた雑木林であり、言わば柳生家の大きな庭です。その雑木林の心地よさをたくさんの人と分かち合うために、カフェレストランやギャラリーなどを併設したパブリック・スペースとして、後に開放した場所なのです。

もちろんそのどちらも私の憧れでありお手本ですが、古くからそのほぼすべての著作を読み、その思想や庭園作法に深く心酔して、心の師匠として師事しているのは柳生さんの方です。私は尊敬と畏怖をこめて、勝手に翁と呼ばせていただいてます^^
f0158627_2054911.jpg

「庭とは人間と自然の仲のよい風景だ」とは翁の言葉です。
そしてそれは、そのまま雑木林の定義ともなります。

かつて日本全国に広がっていた里山の雑木林。そこは人間が決して足を踏み入れてはならない原生林とは違い、人間が燃料や肥料といった糧を得て暮らしに役立てるために作った人工林です。それでも結果として、生き物は野生の森よりも人の手の入った雑木林の方をずっと好んで日本固有の種を育んでいき、里山全体が人間も喜び、生き物も喜ぶコミュニティーとなっていきました。
f0158627_20542277.jpg




翁はこうも言っています。「人間以外の生き物に思いを馳せる。これから人間が生きていくためのたったひとつの倫理だ。いろいろな生き物に負担をかけない生き方がかつて日本にあった。里山だ。人間も生き物もそこではみんな機嫌がよかった。そんなものは人類史上ほかになかった。日本が唯一だ」。

庭を造ろうとするのではなく、庭を通してその向こう側にいつも里山を見ている。
それが翁の庭園作法。もちろん私の理想もそこにあります。
f0158627_20543832.jpg

雑木林造りにおける翁の教え。私がいつも頭の片隅においている六戒。深いです。

グランドカバーは雑草でいい。
外来種を野に放つな。
その土地の樹木を植える。
家は質素でいい。
透けて見えるのが美しい。
重機を使ってはいけない。


f0158627_20544995.jpg

八ヶ岳倶楽部のお話、もう少し続きます。
[PR]
by cyril-aw11 | 2009-10-14 23:00 | 自然・環境
<< 八ヶ岳倶楽部訪問 木材検査 >>