本州のトキ

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新潟県佐渡島で放鳥されたトキのうちの一羽が、今月になって長野県内に飛来したことがニュースになった。1日に信濃町、2日に長野市で確認された後、木島平村へ。その後は環境が気に入ったのかそのまま水田でエサを取ったり、木の枝に止まったりして毎日を過ごしている。木島平村では「い~なか交流館」というコミュニティサイト内に「今日のトキ」というコーナーを設けて、日々のトキの様子を配信している(上の写真もココから)。

トキとはどんな鳥なのか。手元にある「フィールドガイド 日本の野鳥」によれば、

トキ Nipponia Nippon 体長76.5cm
下に曲がった長い嘴を持ち、足は比較的短い。頭は白色で頭は赤く、後ろ頭の羽毛が少し長くて冠羽となる。体も白いが、冠羽、翼、尾等の羽毛は橙紅色を帯び、飛ぶと特に風切が橙紅色に見える。繁殖期には頭部、背、翼の上面が灰黒色となる。嘴は黒くて先が赤く、足は赤色。飛翔中、足は尾を越えて出ない。声:タァーまたはゴァーと鼻声で鳴く。習性:1981年1月、佐渡にいた5羽が増殖を目的に捕獲され、野生のものは日本にはいなくなった。

とある。つまり天然記念物として知られるトキも、もともとは新潟県を中心に日本各地で普通に見られる野鳥だったので「フィールドガイド 日本の野鳥」にも掲載されているのだ。大きく翼を広げて飛翔する時に見える橙紅色は「朱鷺色」と称される本当に美しい色で、この色合いの羽毛欲しさに明治以降人間によって乱獲され、ついには滅ぼされてしまうことになる。

新潟生まれの自分にとって、「朱鷺」は非常に思い入れの強い鳥だ。世界でただ一つ、その学名に「Nippon」がつく種であり、新潟県鳥でもある。物事がわかり始めた中学生の頃には「佐渡トキ保護センター」を見学するためにフェリーで佐渡島に渡り、美術の課題にはトキを題材に選んで絵を描いたりした。今でも自分のブログに「放鳥トキ情報」というサイトをリンクしているのは、その延長線上のことだ。そんな特別な思いがあるので、県内に生きたトキが飛来し、翼を広げて飛んでいる姿をTVのニュースで見た時には目頭が熱くなってしまった。

そんな中、佐渡市長を始め新潟県側から飛来したトキの「返還」要請が起こっているという。環境省は佐渡島に2015年までに60羽を定着させる計画で、昨年9月の10羽放鳥はその第一弾だった。これに合わせて島内では減農薬栽培の導入などを通じて餌のドジョウの数を増やしたり、トキが好んで巣を設けるマツの害虫対策にも取り組むなど環境改善努力を続ける一方、放鳥後にはボランティアらが昼間の行動を記録するなど定着に向けた様々な調査に取り組み、包括的な活動をしてきたという自負もあるのだろう。

実際のところ、佐渡島内の方がトキにとって暮らしやすいのかもしれないし、たった一羽での生活ではペアリングによる増殖活動も見込めないという問題もある。それでもトキが自らの力でわざわざ海を越えてまでやってきて、今ここにいるということは自然現象であって、それを捕獲して連れ戻すというのはどうだろう。環境相も会見で言っていたが、「自然にどう根付くかを見るのが放鳥の大きな目的」ではないのだろうか。

もはやトキは「カゴの中の鳥」ではない。自分の力で飛ぶことのできる羽を持った鳥を空に放せば、その後のことはとても人間の予想が効く世界ではないだろう。逆に「カゴの中の鳥」だったトキにこれだけの飛翔能力や本能による捕食能力が備わっていたことに素直に驚き、そして讃えてあげられれば十分ではないか。

木島平で暮らしているトキは固体番号「03」。彼にとって良き環境がずっと続くことを願って。




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by cyril-aw11 | 2009-03-07 17:18 | 自然・環境
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