ニホンリスが生きられる森

昨日は「軽井沢サクラソウ会議」主催の「軽井沢ふるさと探検隊」 気になるリスの今日この頃~町の中でのこんせき探し~に参加。リスの姿を直接見るのはなかなか難しいので、町内の森の中で彼らの痕跡を探そう!という企画だ。

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町内で見られるのはニホンリス(資料画像)。頭胴長約20センチ、体重約280グラムの日本固有種で、pulalaさんがよく撮影されているエゾリスに似ているが、ニホンリスの方が一回り小さい。北海道にはエゾリスとエゾシマリスが、本州にはこのニホンリスが生息している。

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さてリスの痕跡探し、その対象は「巣」と「食痕(エサを食べた跡)」だ。まず巣の方だが、巣には木の上に小枝を組んでボール状に作る「樹上巣」と、キツツキ類が開けたり自然にできた木の洞を利用する「樹洞巣」がある。写真は樹上巣で、比較的見つけやすい。カラマツやモミなどの針葉樹に多く作られ、高く大きな木の10メートルくらいの高さが選ばれることが多い。一方の「樹洞巣」は見つけづらい。ニホンリスが使いやすい大きさの樹洞は鳥類やムササビなどライバルが多く、空いていないと使えない。

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次に食痕の方だが、ニホンリスの代表的な食痕は好物のマツとオニグルミの球果となる。軽井沢はアカマツを始めとしてマツ類が豊富なので、こちらの食痕探しの方が容易だ。ニホンリスは上手にマツカサの鱗片を剥がし、中の種子を食べる。その食べ終わった跡が、写真のエビフライのようなものだ。地上や切り株の上でまとまってこうした鱗片が見つかったら、リスが地上で食べた証拠(地上食痕)。鱗片がバラバラと散乱していたら、木の上で食べたと考えられる(樹上食痕)。うちが見つけた食痕は全部で6つ。それぞれバラバラなところで見つけたので、樹上食痕と考えられる。

今回のフィールドワークには総勢40名ほどが参加、10本のアカマツがある500平米ほどの区域をサンプル調査した。結果、樹上巣が2つで食痕は300個。クルミの木がないにも関わらずクルミの食痕も見られたことから、遠くから運んできたのだと考えられる。しかしこの調査結果からでは、最低一匹のニホンリスが存在するということが読み取れるくらいらしい。

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一見して緑の森が広がっていても、ニホンリスが棲んでいない森がある。それは一種類だけの木が植えられた人工林や、単純な樹種で構成された二次林など。このような森は食べ物が少なく、巣をかけられるような木や隠れ場所となる多様な高さの木が含まれていないからだ。また森が道路や開発によって分断されて狭くなると、ニホンリスは生きていけない。なぜなら彼らは一生のほとんどを木の上で過ごす森の動物であり、こういう事態に直面すると他の森に移動するためには地上に下りなくてはならなくなるからだ。軽井沢町内も写真のように森が道路で分断されてしまった場所が多く、ニホンリスに限らず森の動物たちには交通事故を始め、危険がいっぱいの状態だ。

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人間の諸業で分断してしまった森をつなぐために、人間が知恵を絞って補完するのは当然のことだ。写真のような「リスの橋」(資料画像)を道路にかける取り組みや、以前紹介した獣医師・溝口俊夫さんが進める道路の下を通す「動物専用トンネル」の普及などを、自治体は開発認可の絶対条件とするべきではないだろうか。開発で得られる莫大な利益を考えれば、決して大した対価ではない。
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by cyril-aw11 | 2009-02-16 20:01 | 自然・環境
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